会報 第133号

会長ご挨拶

全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会

     会 長   空 岡  和 代

   (東京都立村山特別支援学校PTA会長)

 

 寒さが厳しい中でも、暖かい日差しにホッとする季節になってきました。オミクロン株による感染拡大が、一日でも早く収まることを願っています。

 

 先日、今年度2回目となる理事会をオンラインで開催いたしました。全ての議事について理事、評議員の皆様にご承認いただき、感謝いたします。
 また、各ブロックの皆様よりそれぞれの地域での活動報告をしていただきました。集まることができない時でも工夫して活動してくださっている中、「オンラインでも、同じブロック内のPTA会長同士の繋がりの良さ、大切さを感じた。」というお話や「できるならば、ぜひ顔を合わせて情報交換をしたい。」というお話があり、それぞれの地域で活動の意義を感じていらっしゃることをお聞きし、私自身も励みになりました。

 

 9月にオンデマンドで開催させていただいた大分大会については、これまで全国大会に参加することが難しかった皆様にも視聴していただく機会となりました。
 今回の大会で特に驚いたことは、皆様にご準備いただいた動画の工夫、完成度が素晴らしかったことです。ご講演、分科会発表、大分のご紹介、ご講評など全て、応援していただいているお気持ち、届けたい熱い思いが伝わる内容でした。さらに、動画の見せ方についても学ぶことの多い大会となりました。
 改めて、大分大会実行委員会の皆様に感謝申し上げます。

 

 コロナ禍ではありますが、先日は文部科学省、厚生労働省の関係各所の皆様に大会宣言文をお届けすることができました。
教育や福祉の面で制度を作っていただいている皆様と直接お話をし、「保護者としてどんな思いや願いをもっているかを知りたい。」と聞いていただきました。情報交換をさせていただく貴重な機会となりました。
 本連合会の良さは、肢体不自由特別支援学校に通う子ども達や保護者、携わっていただく先生方の思いや願いを、一人の声ではなく多くの仲間の声として届けられることです。
 様々な方とお話をさせていただく時に、全国の皆様の声をしっかりと届けられるように、これからも私自身が会員の皆様との交流、情報交換の機会を大切にしていきたいです。

 

 今後とも、本連合会へのご理解、ご協力をお願いいたします。

 

相談役ご挨拶

 

全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会

相 談 役  諏 訪  肇 

(全国特別支援学校肢体不自由教育校長会会長・東京都立志村学園統括校長)

 

 年度末にあたりまして、ご挨拶申し上げます。
 令和3年度は、新型コロナの感染拡大のほか、医療的ケア児支援法の成立・施行、東京でのパラリンピックの開催、SDGsや教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透など、肢体不自由教育の転換点となる一年だったと思います。これら一つ一つ振り返ってみます。

 

 まずは新型コロナの感染拡大と教育のDXについてです。新型コロナはアルファ株による第4波、デルタ株による第5波、オミクロン株による第6波と、ウイルスは変異を繰り返しながら人類を襲い続けています。このことから今後、第7波や第8波が来ることが容易に想像できます。ではそのことを踏まえてPTAとして何をすればいいのか。まずデジタルを活用した臨機応変な対応が必要です。つまりZoomなどのオンラインの会議システムを活用したり、大分大会のようにオンライン・オンデマンドを活用したWeb大会を開いたりし、肢体不自由児を守り抜いてきたPTA活動を継続していくことが大切です。感染の状況にあわせて、こちらも対応を変異させていくことが必要なのです。そしてもう一つが“優しさ”と“和”を大切にすることです。人類はこれまで、何回も感染症と闘ってきました。これらを歴史的に検証してみますと、必ず持久戦になる、そしてしばしば組織の内部崩壊を引き起こすことが分かります。このことから、感染症のまん延は、組織内の内部対立や分裂を起こしやすい環境であることを理解しておかなくてはなりません。そして、こんなときこそ“優しさ”をもって相手を尊重し、“和”をもって合意形成をしていくことが大切です。“優しさ”と“和”で、全肢Pを発展させていきましょう。

 

 次に医療的ケア児支援法の成立・施行、パラリンピックの開催、SDGsについてです。私はこれらのことは、密接につながっていると考えています。これらをつなぐキーワードは“多様性(Diversity)”です。この多様性を強く発信したのがパラリンピックでした。そして多様性の尊重を具現化した一例が医療的ケア児支援法だったと思います。肢体不自由校に在籍する児童生徒は、実に多様です。保護者の皆さまも多様です。そして人類も多様です。とても大きな話ですが、この多様であることを大切にしてこそ、SDGsでいう“持続可能な社会の実現”が図れるのです。医療的ケア児がいたからこそ、肢体不自由児がいたからこそ、保護者の皆様の活躍があったからこそ、例えば医学の発展やロボット工学の進化など、人類を救う発見や発展があるかもしれません。全ての人がいたからこそ、“持続可能な社会の実現”ができるのです。ですので臆することなく自信をもって堂々と活動していきましょう。

 

 最後に役員の皆様、大会関係者の皆様、そして会員の皆様、1年間お疲れさまでした。これからもお互いを励ましあい、“優しさ”と“和”をもって未来に向かって進んでいきましょう。

 

令和3年度ブロック活動報告

■北海道・東北ブロック   

北海道・東北ブロック長  大矢 渉

(岩手県立盛岡となん支援学校PTA会長)


 令和3年6月3~4日に開催を予定していた、北海道・東北地区肢体不自由特別支援学校PTA連合会「山形大会」は、昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催形式を紙面開催として実施いたしました。今年度も、北海道・東北地区の皆様と集まることができずにとても残念でした。新型コロナウイルスの感染状況により、来年度の開催形式がどのような形になるかは、まだ分からない状況ではありますが、感染拡大が収まり、会員の皆様と集まれることを願っております。
 北海道・東北地区のブロック長として1年活動してきましたが、主な活動は理事会へのオンラインでの参加となってしまい、せっかくの貴重な機会を活かすことができずに1年の活動を終えることになりそうです。とはいえ、全国の皆様とつながりが無かった訳ではないので、つながりを大事にし、今後も力となれるよう活動していきたいと思います。1年間、ありがとうございました。

 

関東・甲越ブロック

◆関東・甲越ブロック長 代田 秋子
 (群馬県立二葉特別支援学校PTA会長) 

 本年度も、新型コロナウイルスの影響は大きく、5月の総会、1月の理事会ともに書面での開催となりました。関東甲越地区加盟校66校が一堂に会する場はありませんでした。

 関肢P連群馬大会は群馬県高崎市に新設された大きなGメッセ群馬での人数を絞った日帰り開催まで検討しましたが、ワクチン接種会場となってしまいした。そこで、昨年度の全肢P連島根大会の記念誌を参考に、中止ではなく書面での開催とさせていただきました。4つの分科会の担当校からは、すぐに原稿が届けられました。記念講演は、長居様に執筆とDVD配信のための撮影と多くの時間を割いていただきました。どうにか、記念誌とDVDを各校に届けることができました。

 来年度の千葉大会はWeb開催を準備しているということですので、成功を祈りたいと思います。会員の皆様に感謝し報告とさせていただきます。

 

 

中部ブロック

◆中部ブロック長 安藤 裕司
 (愛知県立小牧特別支援学校PTA会長

 令和3年5月21日(金)、令和3年12月15日(水)の2回、令和3年度中部地区肢体不自由特別支援学校PTA連絡協議会を開催しました。それぞれの会議では、PTA参加各校をオンラインで結び、令和3年度の事業報告や令和4年度の事業計画等の承認後、情報交換を行いました。新型コロナ感染症がまん延している状況下のPTA活動について、医療的ケアに関する話題、校舎の施設設備の話題などそれぞれ各校から活発な意見交換がされました。


 また、令和3年12月18日(土)午後2時から「全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会補助事業親子ふれあいキャンプ」として、ケロポンズwebコンサートを実施しました。メドレー形式のクリスマスソングや絵本の読み聞かせなど盛りだくさんで、子供たちも十分に楽しむことができたと思います。主催していただきました静岡県立西部特別支援学校の皆様には多大なる御尽力を賜り、感謝申し上げます。なお、来年度はぜひ各種会議が対面開催できることを願っております。

 

近畿ブロック

◆近畿ブロック長 松本 理香
 (大阪府立平野支援学校PTA会長)

 全肢P連会員の皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
 今年度も新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴い、いろいろと制限され、昨年度同様保護者間での活動がほぼなく、連絡だけとなってしまいました。
 コロナ禍の中、子ども達のために日々努力していただいた先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。
 早期の新型コロナウイルス感染症の終息を願い、新しい生活様式を考えながら何ができるかを改めて考えていきたいと思った1年でした。
 PTA活動がスムーズに行える日々を心待ちにしながら自身が成長していけるように努力したいと思います。
 1年間ありがとうございました。

 

■中国・四国ブロック

◆中国・四国ブロック長 後藤 幸子
 (鳥取県立皆生養護学校PTA会長)

 6月3日〜4日に令和3年度、第54回中国・四国地区肢体不自由特別支援学校PTA連合会総会「鳥取大会」を本校よりオンラインにて開催をしました。
 研究協議会では、「福祉」をテーマに高知県立高知若草特別支援学校による提案発表を受け、米子市の「社会福祉法人 あしーど」理事長の光岡 芳晶氏よりご助言をいただきました。また、「鳥取県立総合療育センター」シニアディレクターの北原 佶氏を講師にお迎えし「障害児が地域で輝くために〜私たちができること〜」と題してご講演をいただきました。鳥取へお招きすることは叶いませんでしたが、無事大会を終えることができ、ご参加いただきました皆様には改めて感謝を申し上げます。
 11月19日には、広島県立西条特別支援学校よりYouTube配信にて、令和3年度、第37回中国・四国地区肢体不自由特別支援学校PTA連合会研修会広島大会が行われました。先生、保護者の方々の演奏にのせての学校紹介がありました。
 「医療法人社団 敬崇会 猪原歯科」歯科医師 猪原 健氏による「障害児に対する歯科的支援」、「佐々木塾」理学療法士 佐々木 昭氏による「肢体不自由のある児童生徒の姿勢の管理・運動について」の講演がありました。
 まだまだ大変な世の中ではありますが、いつか皆様とお会いできることを願っております。ありがとうございました。

 

 

 

■九州ブロック

◆九州ブロック長 望月 美香
 (宮崎県立清武せいりゅう支援学校PTA会長)

 今年度は、5月に電子文書による第1回九州地区肢体不自由教育研究協議会及び役員会 総会を実施、10月14日(木)~10月28日(木)の期間、第58回九州地区肢体不自由教育研究大会宮崎大会をWebにて開催いたしました。
 九州地区は、PTA連合会以外に、PTA会長等相互の研修及び親睦を深めることを目的として、独自にPTA会長会を組織しております。
例年大会時に開催される会長会にて意見交換会を行っておりますが、今年度はzoomミーティングによるPTA座談会を開催し、各学校のPTA会長をはじめ、代表のみなさんと意見交換を行いました。限られた時間ではありましたが、情報交換だけでなく今後の活動に向けて連携を深める良いきっかけになったと感じております。
 「継続は力なり」。今後もこのつながりを大切に、肢体不自由教育の発展向上のためにみなさんの輪が広がっていくことを願っています。
一年間九州ブロック長として関わらせていただき、本当に貴重な経験をさせていただきました。
この経験を活かして、これからもPTA活動に取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。

 

令和3年度新規加入校紹介

福岡県立柳河特別支援学校 

「一人一人の『できる!』を増やす」


 本校は、明治42年に「柳河訓盲院」として設立以来、112年の歴史をもち、「柳河盲学校」(大正14年~)を経て、平成22年4月からは、視覚障がい教育、肢体不自由教育、病弱教育の3教育部門を有する特別支援学校としてスタートしました。 校歌(作詞・北原白秋)の中にある「心眼  心耳  心頭」を教育信条とした歴史と伝統、そして、生まれ変わり(reborn)、進化し続ける(step up)学校です。今年度は、60名(視覚障がい教育部門6名、肢体不自由教育部門53名、病弱教育部門1名)の幼児児童生徒が在籍しています。

 

 学校グランドデザインに掲げている「一人一人の『できる!』を増やす」を真の意味で実現するために、子どもたちが「主体的に人・ものに関わること」「自分の意思・考えをもつこと」にこだわった教育活動を推進しています。特に今年度は、子どもたち一人一人の「マンダラート(目標達成シート)」の作成により、「できる!」の具体化を図りながら取り組んでいます。


 新型コロナウイルス感染症の影響が続きますが、感染防止対策を徹底し、各教育部門・学部で工夫して教育活動を行っています。