会報 第129号
令和2年度総会開催報告
令和2年度総会は新型コロナウイルス感染拡大により通常の開催形式が困難となったため、書面決議による開催とさせていただきました。
加盟校218校に対し、178校より書面表決書の提出をいただきました。
よって、会員の1/2を満たしましたので規約の第六章第19条にしたがい総会が成立したことをご報告させていただきます。
また、全ての議案において規約の承認条件を満たすご承認を頂き、可決されましたことをご報告させていただきます。
【新規加盟校】
今年度、新たに2校が本連合会に加盟いただけましたのでご紹介させていただきます。
新規加盟頂いた2校のご紹介記事につきましては次号に掲載予定です。
会長 ご挨拶
全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会
会 長 澤 村 愛
(東京都立光明学園PTA会長)
本会発足以来初めてとなる「書面による総会」が9月25日に滞りなく成立に至りました。皆さまのご理解とご協力に感謝いたします。引き続き会長職に就任いたしました東京都立光明学園PTA会長の澤村です。子どもは高等部3年生に在籍していますので、3期目となりましたが、今年度限りの会長職です。力を尽くして参ります。どうぞよろしくお願いいたします。
教育とは知・徳・体を一体に育むものであり、子供達は日々の学びを積み重ねることで成長していきます。新型コロナ肺炎から子供の命を守る為に学校が休業となり、日々、学校教育がある事の大切さとありがたさを痛感しました。
文部科学省が主催する中央教育審議会(中教審)の初等中等教育分科会では、議論の中間まとめが発表されました。そこには深刻な教室不足に陥っている特別支援学校の設置基準(省令)を新たに定めて、児童生徒数に応じた校舎の大きさや備えるべき施設などを明確化して、教育環境の改善を進めることが盛り込まれています。この事が今後の最終答申にも盛り込まれ、数だけでなく「質」が担保された施設・設備の整備が推進されると確信しています。まさに歴史が動いた瞬間です。審議会等の場で、私たちの「願い」を「意見」として届けてくださった委員の皆様に、深く感謝をいたします。
第63回の全国大会・島根大会中止にあたり、会員の皆様には、ご理解とご協力を賜りましたこと、深くお礼を申し上げます。また、来年度の第64回の全国大会「大分大会」につきましては、全国の感染状況を鑑みながら関係各位とご相談の上、1月の理事会にて開催の是非、あるいは開催の方法を決定いたします。
私が会長として今後取り組みたいと考えている事についてお話させてください。
本会はこれまで永らく8月の大会に合わせて総会を開催してきました。役員名簿案や予算案の承認も8月の総会で行ってきました。ほぼ全ての単Pでは年度毎に春先に役員改選を行っているにもかかわらず、全肢P連は8月の総会からが役員任期のスタートとなっており、このことが実情に合っていないことを会長として3年目に至る務めの中で実感しました。予算についても同様です。会長職の任期は1年間という単Pも増えてきました。
そこで、本会も単Pにおける総会での役員交代と発足以来の協力団体である全肢校長会における5月の代表者会での役員交代と足並みを揃えた形で、新年度の活動が開始できるようにする為の準備に取り掛かりたいと思います。
会員の皆さまには、会務を担う全肢P連役員の働き方改革の観点からも是非ご理解とご協力を賜りますよう、お願いいたします。
又「ソサエティ5.0の社会だからできる新しい教育様式の実践」が、このコロナ禍を切り抜ける知恵として前倒しされ、現実のものとなりつつあります。その一つとして「遠隔システム」を利用した授業や学習会が各校で持たれ始めています。GIGAスクール構想とは遠隔システムを「活用し続ける」ことでもあるのです。訪問教育で学ぶ仲間を持つ私たち肢体不自由校は、離れている仲間をつなぐ願いと工夫を蓄積してきた自負があります。いまこそ遠隔システムを活用した教育や活動に関する世界を定着・充実させる率先リーダーでありたい。
本会でも「遠隔システムによる理事会」の試みを始めてみたいと思います。しかし各ご家庭・学校の通信環境は様々です。歴史ある大切な全国組織である本会を守り、次へと繋げていくためには、会員校の校長先生方のお力添えが必要です。役員校の校長先生方には「学校会場からオンライン参加可能」な環境のご提供や、システム運用の支援などについてのご理解とご協力を賜りますよう、お願いいたします。
歴史上終わらなかった感染症の脅威はありません。私たちは仲間です。チーム全肢P連として誰一人置き去りにすることなく子供達の命と学びを守り続けましょう。
皆で集まる日を心待ちにしながら。
相談役 ご挨拶
全国肢体不自由特別支援学校 PTA 連合会
相 談 役 諏 訪 肇
(全国特別支援学校肢体不自由教育校長会々長・東京都立志村学園校長)
今年度より、相談役となりました東京都立志村学園統括校長で全国特別支援学校肢体不自由教育校長会会長をしております諏訪肇です。何卒、よろしくお願いいたします。
まず初めに、第63回全国大会・島根大会の中止にあたり、ご尽力いただきました皆様に、深く感謝申し上げます。この大会に向けてご準備いただいたものはしっかりと受け止め、今後の肢体不自由教育発展のために必ず活かしてまいります。
さて相談役就任にあたりまして、過去、現在、そして未来の視点から述べさせていただきます。
【過去~築き上げた肢体不自由教育の文化を大切に~】
私は中学生の頃、特別支援教育を受けていた当事者でした。慢性腎炎を患い、半年近く小児病棟に入院しておりましたので、院内学級に在籍していました。最初はベッドサイドでの学習でしたので、今の訪問教育も受けていたことになります。この経験から私は特別支援学校の教員を目指すようになりました。大学を卒業し、2年間ほど私立学校に勤務したあと、昭和62年から14年ほど肢体不自由校2校に勤務いたしました。その間、進路指導を中心に行っていたのですが、医療的ケアへの対応、高等部訪問の設置なども経験させていただきました。この経験が私のバックグラウンドになっています。その後、教育行政と学校の管理職をいったりきたりし、現在は東京都板橋区にあります志村学園の校長をしております。
勤め始めた30年前から現在の特別支援学校を眺めてみると、幾つかの違いがあります。大きな違いが、「多職種によるチームプレーで児童生徒と関わる」ということです。当時、教室内は「教諭」と「児童生徒」だけの世界でした。各都道府県により状況や職名は異なると思いますが、現在本校では「教諭」の他に「学校介護職員」と「非常勤看護師」が同じ教室内におり、教員も「教諭」「主任教諭」「主幹教諭」となりました。それぞれの役割のもと、チームによる教育が展開されています。他にも「養護教諭」「栄養士」「看護師」「バスクラーク」、さらには「外部専門家(PTやOTなど)」「スクールバス乗務員」「医療的ケア付き専用車両運転手と同乗する訪問看護ステーションの看護師」など関わる職種は多種多彩です。つまり、「教諭」と「児童生徒」だけの世界から、多職種の専門性を生かせる世界へと大きく変わったのです。この広がりは、他の障害種の特別支援学校にもあまりないことです。
多職種の専門性を生かした教育を展開する現在の肢体不自由教育は、全肢P連を始め保護者の皆様の運動の成果であり、築き上げた文化だと思います。さらに肢体不自由教育の文化はそれ以前から脈々と継承されてきたもので、多くの先人たちの知恵と努力の上に成り立っていることを是非とも理解しなくてはなりません。我々はこの文化に気づき、大切にし、そのうえで発展し続けていくことが大切だと思います。
【現在~新型コロナと肢体不自由教育~】
「新型コロナ」一色の令和2年。「新型コロナ」は、肢体不自由教育にもさまざまな課題を投げかけることとなりました。マスクや消毒用アルコールなど用品の確保と衛生環境の確立、オンライン教育の推進、エッセンシャルワーカーのお子様の休校中の預かり、休校に伴う教育課程の見直しと学校行事の精選、児童生徒の心理面のサポート、教職員の勤務の在り方、新しい日常への対応、コロナ対策予算の編成など、課題を挙げればきりがありません。
しかし、よくよく考えてみると、これらの課題のうち肢体不自由教育の築き上げてきた文化が役立つことも、多々あると感じています。例えばオンライン教育です。肢体不自由教育では、なかなか外出したり多くの人と交流したりしづらい障害特性から、それを補完するため遠隔学習がコツコツと積み上げられてきました。タブレット端末や分身ロボットの活用がそれです。また、医療的ケアの実践から、衛生環境に対する意識は既に進んでいたと思います。マスク着用や手洗い・消毒の習慣、健康への配慮などはこれまでも確実にあった肢体不自由教育の文化です。我々は今一度、自分たちが築き上げてきた文化を見つめなおすことにより、一つ先の「新型コロナ」への対応ができると思っています。
感染症が拡大しやすい冬場を控え、欧米の一部地域のように再びロックダウン状態となる可能性は否定できません。そうなったときに備え、学校と保護者が日頃から連携し、準備を進めていくことが大切と考えます。オンライン教育は双方向ですので、学校の通信環境のほか家庭の通信環境の整備や料金プランの見直しが必要になることもあるかと思います。また、東京都では児童生徒の新型コロナ感染者の6割以上が家庭内感染だったとされています。家庭における感染対策を今一度見直していただき、対策について考えていただければと思います。
【未来~Society 5.0とSDGs~】
コロナ禍のあと、日本はどこに向かうのか。その指標となるのがSociety 5.0とSDGsであると私は思っています。しかも、これは肢体不自由教育とも切っても切り離せない関係にあります。
Society 5.0は日本の未来社会創造のコンセプト。Society 1.0が狩猟社会、2.0が農耕社会、3.0が工業社会、4.0が情報社会、そして5.0が仮想と現実を融合させた社会で、経済発展と社会的課題解決を同時に進めていくというものです。一方、SDGsはSustainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」などと訳されます。この頃CMなどで「サスティナプルな~」とか「持続可能な~」というフレーズをよく聞きますが、これはSDGsを意識したものです。Society 5.0は科学技術基本法に、SDGsは国連総会の採択にそれぞれ基づいています。
肢体不自由校を経営する校長として、この頃何を感じるかといえば、ICT教育と医療的ケアの進展です。これがまさしくSociety 5.0とSDGsに関連してくるのです。前述のように新型コロナ感染拡大はオンライン教育などICT教育を後押ししました。GIGAスクール構想の前倒し実施などはその表れで、これまで培ってきた肢体不自由教育のICT教育の大きな進展が期待できます。しかもSociety 5.0は、AIやロボットの活用する社会ですので、遠隔ロボットなどはまさしくこれにあたります。またSDGsの理念は、誰一人とり残すことなく全員で未来を生き抜いていこうというものです。つまり、どんな障害があっても、医療的ケアを必要としていても、社会の一員として大切にされる社会、それが目指す未来であるということになります。ということは、肢体不自由教育の充実や医療的ケアへの対応は、肢体不自由校の社会的使命ともいえます。
新型コロナは必ず収束します。もちろん特効薬やワクチンの開発ということが重要ですが、もうひとつ、私は教育の力を信じています。我々はこの半年間、新型コロナと向き合い、沢山の学習をしてきました。三密回避とか、マスクの有効性だとか、手洗いの重要性だとかを学んできました。みんなで正しい情報を学び、正しい実践を誠実に重ねていくということが、私は新型コロナの収束につながると思っています。エビデンスに基づかない情報に左右されず、そして油断することなくもう一頑張りしていきましょう。
新ブロック長(全肢P連副会長)のご紹介
■ 北海道・東北ブロック長 齋 藤 千 佳 (青森県立青森第一養護学校PTA会長)
北海道・東北ブロック長を務めさせていただきます、青森県立青森第一養護学校PTA会長の齋藤千佳です。
私が初めて全肢P連全国大会に参加したのは、2017年の東京大会でした。講演や発表は、どれも興味深いもので、知らなかったことを知る機会を頂きました。何より、参加されていた皆さんの熱意に感動しました。もっと多くの方が参加することができたら、と思いました。
今年度は様々な大会が中止となり、実際に集うことが出来ない状況で大変残念です。
元々、お子さんや家庭の状況から、遠方に出かけて集うことが難しい方がほとんどではないでしょうか。今後はどのような状況の方でも、等しく情報が得られ、参加できる何か新しい形も生まれたらよいな、と感じています。
単に子どもを学校に通学させるだけで終わらず、PTA活動に参加することで得られるつながりは、財産になっていくと感じています。
微力ではありますが、一年間よろしくお願いいたします。
■ 関東・甲越ブロック長 小 池 宏 美 (茨城県立水戸特別支援学校PTA会長)
令和2年度、関東・甲越地区のブロック長を務めさせていただきます茨城県立水戸特別支援学校PTA会長の小池宏美と申します。
7月26日、27日に予定をしていました関肢P「茨城大会」は新型コロナウイルス感染を防ぐ為、やむを得ず中止とさせていただきました。
茨城県においても日々感染者が出ている状況です。未だに感染拡大が続いている中今後の活動はどのように行っていくのがよいか模索中であります。
皆様の健康と安全を第一に考え、一年間精一杯務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
■ 中部ブロック長 宮 木 徹 (長野県花田養護学校PTA会長)
何より本年、台風・大雨等の災害に遭われた方々、関係者の皆様にはお見舞い申し上げるとともに、早い復興をお祈りいたします。
本年はコロナによる緊急事態宣言の渦中での出発となり、かつてない経験となり現在に至っても尚、深刻な状況となっております。
本年、中肢P連絡協議会総会・研究協議会を中止となってしまいました。
しかしこの渦中であっても、家庭、学校等の苦悩の中、先輩役員の方々が築いてきた絆が強く、新米の私を助けていただきました。
今後もこの素晴らしい絆の輪を未来へと築いていきたいと実感しています。
昨年より家庭を取巻く環境により参加が厳しい保護者の方もいらっしゃいますので、今後の参加のあり方が求められると切に思います。
新米な私にご協力お力添えいただき感謝申し上げます。
1日も早い日常が戻り、子供、保護者が、希望に満ち、笑顔溢れることを願います。
■ 近畿ブロック長 末 吉 いづみ (尼崎市立あまよう特別支援学校PTA会長)
この度ご縁をいただき、令和2年度の近畿地区ブロック長を仰せつかりました、尼崎市立あまよう特別支援学校PTA会長の末吉いづみです。
尼崎市立あまよう特別支援学校は平成30年度に尼崎市内の新校舎に移転しました。太陽の光が校舎内にたくさん入り、教室はもちろんトイレや廊下にも空調設備が設けられた快適な校舎です。また、地震津波等の災害発生時にも対応できる最新の設備を備えており、安全かつ安心できる環境の中で子どもたちは学ばせてもらっています。
保護者の代表として今後の特別支援教育のあり方や子どもたちの自立と社会参加の更なる発展、充実させるには何をすべきかを見つめ皆様の貴重なご意見を聞かせていただきたく思います。
また、近畿地区ブロック長としてそれらを取りまとめ、関係機関との連携を密にして実現に向けて微力ながら精一杯努めて参ります。皆様のご協力を是非ともお願いいたします。
情報が溢れ世の中の変化が急激に休むことなく進む中、「情報の共有」は私たちの生活をよりよくするためにとても大切な事です。更に、共有したものを子どもたち自身や保護者、それにかかわる方々が共に手を携え、それぞれの立場で力を発揮していくことが求められます。
子どもたちが自分らしく、生き生きと過ごせる社会の更なる発展を目指し、希望を持って活動していきたいと思います。
初めての事が多く、至らないところも多々あろうかと思いますが一年間どうぞよろしくお願いいたします。
■ 中国・四国ブロック長 安 田 洋 治 (広島県立福山特別支援学校PTA会長)
今年度、中国・四国地区のブロック長になりました広島県立福山特別支援学校PTA会長の安田洋治です。
今年度は、コロナウイルスの影響で予定されていた様々な行事が中止となりました。児童生徒も、長期間の臨時休校もあり活動が制限されております。
このような状況下でもPTAとして、可能な限りの活動を継続し、児童生徒が、安心・安全に笑顔で活動できるような取り組みをしていきたいと思います。中国四国地区のブロック長として、大変微力ではございますが、PTA連合会の活動の一環を担えればと考えております。1年間よろしくお願い申し上げます。
■ 九州ブロック長 上 江 洲 優 貴 (沖縄県立鏡が丘特別支援学校PTA会長)
皆様ますますのご健勝のこととお慶び申し上げます。
今年度、九州ブロック長を務めることになりました、沖縄県立鏡が丘特別支援学校PTA会長の上江洲優貴と申します。
今年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、各校PTA活動の自粛や制限がある中、手探り状態での活動を行っているものと思われます。
本校も正にその状態にあり、PTA総会は書面による決議を行うなど、例年とは違う形での活動を行わざるを得ない状況です。しかし、すべての活動を「中止」にするだけでなく、こういう時だからこそできることを模索していくことも必要だと考えます。
ぜひ、全国の皆様とネットや会報などを介してつながっていき、工夫されているPTA活動等を共有し、共に模索できることを願いたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。
令和2年度役員名簿
【3】令和2年度理事評議員名簿
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令和2年10月発行