会報 第126号

会長 ご挨拶

全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会

     会 長     澤 村  愛

      (東京都立光明学園PTA会長)

 今年度も会長として引き続き務めます東京都立光明学園PTA代表会長の澤村愛です。どうぞよろしくお願いいたします。

~学校は生涯学習の起点である~

 すべての子供は発達する権利を持っている。しかし発達の前に障害の重い子の場合は、「保護」という事を考えねばならない。この保護という言葉が「飼い殺し」につながることは問題である。社会福祉、児童福祉と言いながら、いつのまにか子供の育つことが阻まれているのではないか。子供が障害を克服しようとしているにもかかわらず「この子は特別だ」が強調されてしまい、子供が伸びようとしているのに、その努力をはばんでしまってはいないか。保護は教育であらねばならない。教育とは障害を克服する営みを助けることであり、障害の無い人には障害を設定し、それを乗り越えさせていくことである。それを、めいいっぱい助ける事である。今その子がどういう発達段階に居るのか。親として、専門家として見極めることが大切である。見極めたうえで、手当てして行くことが大事である。

 

 これは「この子らを世の光に」で有名な糸賀一雄先生の「保護」の考察の中の抜粋です。

 

 保護が飼い殺しになっていないか、保護は教育であらねばならない。と書いてあります。

 

 養護学校の義務化と周産期医療の発達は、私達肢体不自由児の学校を目に見えて重度重複化させました。今年2月の医ケアに関する国のまとめにより、これからは所謂通常の学校にも医療的ケアのある子が通い出します。特別支援学校の重度重複化は更に進むはずです。

 政府が目指すソサエティ5.0の社会から、障害者を外す理由はどこにもありません。平成27年国連サミットでは持続可能な開発目標SDGsが採択され、教育は17の中の1つの目標として全ての人に包括的かつ公平で質の高い教育を提供し生涯学習の機会を促進させることとなりました。29年4月には、「特別支援学校の生涯学習化にむけて」と題するメッセージが文科大臣より発出されました。来年1月の次回の理事会では午前中に地域ケアさぽーと研究所所長の飯野順子先生を講師としてお招きして、「生きることは学ぶこと、学ぶことは生きる喜び」。生涯学習についての国の最新の動向をからめたご講演をしていただきます。飯野先生の取り組みは重度の障害者をもその学びの対象者としており、私達に希望を与えてくださっています。

 

 学校は福祉の場ではありません。学びの場であり生涯学習の起点の場所です。

 

 しかしながら子供達が学校に通うのは一日のたった4分の1の時間しかありません。だからこそ、専門家である先生方には、制限時間を意識して日々の授業をデザインして欲しいし、一日の4分の3を受け持つ保護者は、我が子なりのファインな状態で授業に臨めるよう環境を整える、そんな真剣勝負な役割分担が必要なのです。

 

 今、いろいろな点が私の頭の中で線になり始めています。2年目を経験させていただけることに感謝をしています。
 努力いたします。引き続き皆さまのご協力を賜りますよう、どうぞ宜しくお願い致します。

 

 

相談役 ご挨拶

「全肢P連と全肢長会のあゆみ、そして肢体不自由教育を取り巻く今日の状況」

全国肢体不自由特別支援学校 PTA 連合会

    相 談 役  田 村 康 二 朗

(全国特別支援学校肢体不自由教育校長会々長・東京都立光明学園校長)

 今年度も全国特別支援学校肢体不自由教育校長会(全肢長会)会長として引き続き本会(全肢P連)の相談役を務めます東京都立光明学園校長の田村康二朗です。どうぞよろしくお願いします。

 

全肢P連と全肢長会のあゆみ  昭和7年(1932)に国内初の公立肢体不自由教育学校として開校した東京市立光明学校(現在の東京都立光明学園)に仲間の学校ができるまでには、戦前・戦中・戦後を挟んでほぼ四半世紀にわたる長い時間が必要でした。昭和31年、公立養護学校整備特別措置法の成立を受け、校舎建築や人件費に関しての大幅な国庫補助が確実になったことを機に、各都道府県で養護学校の設置が始まっていきました、昭和32年(1957)に全国養護学校長会内の肢体不自由校4校が、校長部会としての活動を始めました。その中では肢体不自由校の保護者の広域的な連携の必要性が各校の保護者とも共有されていきました。そこが原点となって、全国的なPTA組織の整備に向けた準備に繋がっていきました。そしてついに翌年の昭和33年(1958)7月、東京都立光明小・中学校を会場に、直近に開校した学校を加えて7校の関係者が集い、「全国肢体不自由養護学校PTA連合会 結成式」に至ったのでした。これ以降さらに各地での開校が続き、全都道府県設置へと至ったのです。現在、全肢P連加盟校は216校(会員1万7千人弱)と大きな輪に育ちました。

 

肢体不自由教育を取り巻く今日の状況 本会を取り巻く動きをいくつか紹介します。

<医療的ケア> 文部科学省が平成29年10月に設置した「学校における医療的ケアの実施に関する検討会議」には全肢P連と全肢長会の両団体代表が揃って参画し、両団体が連携して保護者の願いと学校の実態を踏まえた意見を表明することで、各地域での推進の指針となる「検討会議の最終まとめ」(平成31年2月公表)に、意見を反映させることができました。この「最終まとめ」に盛り込まれたスピリットは以下の通りです。

◆「医ケアを行う・行わない」から、小・中学校等も含めて校種に応じて「どのようにやるか」の時代へと意識改革しよう!

◆学校での授業が可能なお子さんに対し、一層の通学支援を検討・工夫しよう!

◆呼吸器対応も含めて、保護者の付添い縮減へ最善を尽くそう!

<生涯学習に繋がる教育活動の振興を> 全肢長会が企画・実施してきた全国肢体不自由特別支援学校ボッチャ大会「ボッチャ甲子園」や「プレゼンカップ」等の児童生徒がスポーツ・文化面で活躍する全国的な活躍機会の創出に当たっても、全肢P連の大きな協力があるからこそ軌道に乗せることができたのです。スポーツ、芸術(絵画・書)だけでなく、意見表明などの言語活動についても全国規模の大会を継続できるようになってきました。

<これからの初等中等教育の在り方について> 今年4月に文部科学大臣の諮問を受けて中央教育審議会(中教審)の初等中等教育分科会が開催され、これからの初等中等教育の在り方について総合的に検討するための特別な部会の設置が決定しました。6月からはこの特別部会が定期開催されています。Society5.0時代の到来を見据え、現状及び課題を踏まえ、幼・小・中・高に関する学校教育の在り方の総合的な検討を令和3年2月までの期間で検討を重ねます。〔※Society5.0とは、仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会のこと。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、新たな社会を指します。〕

当然、検討範囲の中には、特別支援学校の教育も含まれています。この部会には特別支援学校の現場からは、私1名のみが参画しています。教育行政の方向付けをする中教審に、現職の肢体不自由特別支援学校長が参画したことは、これまでになかったのではないかと記憶していますので、身の引き締まる思いです。

 

全肢P連と全肢長会が手を取り合って  さかのぼれば6年前に障害のあるお子さんにとっての就学の仕組みが大きく変わる節目がありました。そして医療的ケアに関しても今回の「最終まとめ」により、肢体不自由校だけでなくどの学校においても体制を整備していく必要性が明示されました。こうした積み重ねの中で、共生社会の一層の推進に向けた大きな流れができつつあることを改めて実感しつつ、全肢P連の皆さんの学校教育に期待する声に耳を傾けながら、今後の共生社会の推進施策の検討を進める中で特別支援学校の教育の在り方をしっかりと議論すべきであると考えています。中教審と連動して、特別支援教育に関する有識者会議が間もなく設置されるとのことですので、大いに注目していく必要があります。

 

 どの時代にあっても全肢P連と全肢長会が手を取り合い、日本の未来を託す子供達を一緒に育んでいきましょう。全肢長会は今後とも全肢P連の活動を全力で応援してまいります。

 

新ブロック長(全肢P連副会長)のご紹介

■ 北海道・東北ブロック長 佐々木 江美子
 (秋田県立秋田きらり支援学校PTA会長)

 令和元年度、北海道・東北ブロック長を務めさせていただきます、秋田県立秋田きらり支援学校PTA会長の佐々木江美子と申します。

我が子はただいま、高等部2年生。胃ろう、気管切開と医療的ケアのサポートで、大好きな学校に楽しく仲間、先生と過ごし、笑顔いっぱいです。全国の皆様との交流、情報交換の場で、願いを一歩一歩、実現に向けて新たな時代につなげていけるように出逢いを大切にしたいです。

 責任の重さを感じておりますが、様々な出逢いがご縁となり、感謝しながら、微力ではありますが、全国の会員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 

■ 関東・甲越ブロック長 小山 香奈子
 (山梨県立あけぼの支援学校長PTA会長)

関東甲越ブロックの新ブロック長を仰せつかりました、山梨県立あけぼの支援学校PTA会長の小山香奈子でございます。大所帯の東京都、神奈川県、埼玉県を含む関東1都8県65校のまとめ役として身が引き締まる思いでございます。

 さて元号も令和と改まった今年7月28日29日(日、月)の両日、「子どもたちの未来のために今できること~新しい時代の幕開けに~」をテーマに、第55回関東甲越地区肢体不自由特別支援学校PTA連合会及び校長会合同研究協議会 山梨大会を山梨県甲府市の甲府記念日ホテルにて無事開催することができました。参加51校、396名の参加者と盛会に終わりましたのも、偏に関東甲越ブロックの各会員の皆様の熱心さの賜であると実感しております。ここで得られた貴重な情報やネットワークを全国に発信できたらと思います。よろしくお願いいたします。 

 

■ 中部ブロック長 稲垣 美奈
 (三重県立城山特別支援学校PTA会長)

今年度、中部ブロック長を務めさせていただきます、三重県立城山特別支援学校PTA会長の稲垣美奈と申します。

 娘が本校にお世話になって4年目になりました。私自身、学校のこと、PTAのことが少し分かってきたかな・・・?と思っていたところに、本校PTA会長と中部ブロック長という大役を拝命し、戸惑いながらも、周りの経験ある先輩役員の皆様や先生方に支えていただきながら、何とか務めさせていただいております。

 先だっての第1回中部地区肢体不自由特別支援学校PTA連絡協議会を無事に終えることが出来ましたことも、中肢P連の皆様の温かいご協力のおかげです。ありがとうございました。

 この連合会を通して、たくさんの方と出逢う機会をいただけたこと、大変嬉しく思っております。皆様から多くのことを学ばせていただき、吸収し、そして発信していけるよう心掛けながら、精一杯努めて参ります。一年間、どうぞよろしくお願いいたします。

 

■ 近畿ブロック長 植月 智子
 (奈良県立奈良養護学校PTA会長)

 昨年に引き続き、令和元年度近畿ブロック長を務めさせていただきます、奈良県立奈良養護学校PTA会長の植月智子と申します。

 今年度の全肢P連奈良大会の研究主題「えがおひろがるみんなの輪 奈良から始まる新しい時代」にありますように、全国の会員の皆様と笑顔の輪をひろげていけますよう頑張っていきたいと思っております。

 至らない点も多々あるとは思いますが、1年間どうぞよろしくお願いいたします。

■ 中国・四国ブロック長 德永 有芳
 (岡山県立岡山支援学校PTA会長)

 今年度、中国・四国ブロック長を務めさせていただくことになりました岡山県立岡山支援学校PTA会長の徳永有芳です。

 本校は、県内唯一の肢体不自由部門単独校であり、また全県学区であることから、岡山県内さまざまな地域の生徒が在籍しています。

 PTAでは、日頃から学部・学年を超えた縦と横の繋がりを大切に活動していますが、今回中四国ブロックの担当校として中四肢P連総会の準備や運営に携わることで、その繋がりが更に深まったと感じています。

 会長職2年目の経験の浅い私ですが、この機会に全国の皆さまと繋がることで各地区の取り組みや課題を共有し、自分なりにPTA活動に活かせていけたらと考えています。

 1年間どうぞよろしくお願いいたします。

 

■ 九州ブロック長 溝口 高根
 (長崎県立佐世保特別支援学校PTA会長)

 今年度九州ブロック長を務めさせていただきます。長崎県立佐世保特別支援学校肢体不自由教育部門会長、溝口高根です。

 本校は、知的障害教育部門・肢体不自由教育部門の併置校であるため、学校内では、知的障害教育部門の方がPTA会長、私はPTA副会長兼生活委員長として活動しています。

 本校の約280名の児童生徒(他に知的障害教育部門の二つの高等部分教室に29名)が、学校の近くにある愛宕山の麓で、楽しく充実した学校生活が送れるよう、また、保護者も気軽に参加できるようなPTA活動を目指して、奮闘しています。

 令和元年10月16(水)~18日(金)に長崎県佐世保市において、九州地区肢体不自由教育研究大会長崎大会が開催されます。「学習指導要領に基づく肢体不自由教育校の教育活動の在り方を探る」を基本テーマとして、長崎県内の肢体不自由教育校4校が協力して準備を進めています。

 佐世保市は、風光明媚で美味しい食べ物もたくさんありますので、多数の参加をお待ちしています。

令和元年度理事・監事の皆様(PTA会長)

■ 理事

庵  普美  東京都立多摩桜の丘学園PTA会長
       (全肢P連副会長)

青山 久美子 島根県立松江清心養護学校PTA会長
       (次年度大会実行委員長)

■ 監事

吉井 佐知子 東京都立八王子東特別支援学校
       PTA会長

 

 

令和元年度理事の皆様(校長先生)

■ 理事

國保 とも子 東京都立北特別支援学校長
       (全肢P連副会長)

庄司 伸哉  東京都立鹿本学園校長

新目  基  秋田県立秋田きらり支援学校長

佐田 弘和  山梨県立あけぼの支援学校長

山口  香  三重県立城山特別支援学校長

平井 克季  奈良県立奈良養護学校長  

河田 智三  岡山県立岡山支援学校長

淺野 博行  島根県立松江清心養護学校長
       (次年度大会主管校 校長)

西岡 哲男  長崎県立佐世保特別支援学校長

令和元年度評議員の皆様(PTA会長)

梅原 麻紀  北海道拓北養護学校PTA会長

杉田 正利  山梨県立甲府支援学校PTA会長

大山 智弘  静岡県立西部特別支援学校PTA会長

大久保 靖代 大阪府立東大阪支援学校PTA会長

安田 洋治  広島県立福山特別支援学校PTA会長

大金 良彦  沖縄県立泡瀬特別支援学校PTA会長

 

令和元年度監事・評議員の皆様(校長先生)

■ 監事

堀江 浩子 東京都立墨東特別支援学校長

■ 評議員

秋保 雅浩 北海道拓北養護学校長

齋木 信也 神奈川県立鎌倉養護学校長

小八木 隆 福井県立福井特別支援学校長

西浦 由夏 大阪府立堺支援学校長

田中 弘枝 広島県立福山特別支援学校長

長浜 勝直 沖縄県立泡瀬特別支援学校長

 ※ 写真は第1回理事会にご出席のみなさまでお撮りしています