医療的ケアが必要な子どもの住まいの工夫

©イラスト:堀江篤史


近年の新生児医療の発達等により、医療的ケア(たんの吸引や経管栄養、人工呼吸器等)が必要な子どもが急増しています。ここでは、医療的ケアが必要な子どもと家族にとって、少しでも安全で快適な住まいが実現できるよう、基本的なポイントをまとめています。さまざまな医療・福祉サービスと一緒に活用していただければ幸いです。

居室(寝室)
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生活のリズムを獲得していくことや、家族のプライバシーを守るためにも、可能な限り子どもの寝室と日中の居場所は分けたいものです。また、医療的ケアが必要な子どもの在宅生活では、多くの医療機器や福祉用具、家電製品が入ってくるため、電気容量やコンセントの数を確保しましょう。さらに、看護師やヘルパーなどが頻繁に出入りすることになりますので、間取りや動線にも配慮したいところです。家族の精神的な負担を少なくし、在宅生活を継続する非常に重要なポイントになります。

 

 

  ポイント1   ベッドまわりはコンセントがたくさん必要です!

人工呼吸器、吸引機酸素発生装置、パルスオキシメーター、電動ベッド、エアマットなど、子どもの状態によっては、様々な医療機器や福祉用具などが療養室に入ってくることになります。さらにテレビ、エアコン、空気清浄機、ラジカセ、パソコン、携帯電話、オーディオ類などの家電製品等も子どもの部屋に置かれる可能性が十分に考えられます。

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それらのほとんどは電源が必要になるため、療養室にはコンセントが7ヶ所(14口)以上あるとよいでしょう。人工呼吸器などの医療機器は感電事故の防止のためアース接続が義務付けられています。電気店に依頼して医用コンセントを設置しましょう。

タコ足配線はキケンです。一定の電気容量を超えるとブレーカーが落ちたり、発熱や発火の可能性が高まります。また、医療機器の管理のためにもタコ足配線は避けましょう。

 

  ポイント2   介助しやすい間取りや同線も考えましょう!

パンフ01-3.ai日中、キッチンで調理をしている時でも子どもの様子は気になるものです。その場合は、カウンターキッチンにして、キッチン内からも子どもの様子が確認できるような間取りがよいでしょう。また、医療的ケアが必要な子どもの在宅生活では、医療や福祉との連携が必須となります。すなわち、看護師やヘルパーの出入りが頻繁になるということです。家族の性格や考え方にもよりますが、夜間や早朝にも人が出入りする場合には、家族と出入口やトイレを分けることや子どもの部屋に洗面器や電子レンジ等を置いている場合もあります。退院後は、イメージがつきにくいので、生活をしながら状況に応じて少しずつ変更していくと良いでしょう。

 

外出

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外出しやすい環境を整えることはとても大切です。道路から玄関まで高低差があり、敷地が狭い場合は、スロープをつくると角度がとても急になってしまい、使いにくくなることがあります。そんな時は、段差解消機が役に立ちます。機械を使ってエレベーターのように車椅子を上下に移動することができるので、スロープよりも小スペースで設置ができます。段差解消機の種類はメーカーによって様々ありますので、動線や設置スペース、費用面等を考慮しながら選択するとよいでしょう。

 

 

  ポイント1   玄関以外から外出することも検討しましょう!

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段差解消機は、小スペースで一気に段差を解消できるため、スロープが安全に設置できない場所などでよく使われます。

一般的に玄関には上がり框という段差があります。さらに、玄関を出た後もポーチの段差などがあり、車椅子での外出が大変な場合があります。そのような時は、玄関以外からの外出を考えましょう。居室の掃き出し窓からスロープや段差解消機を使って外出すると、意外と簡単に外出できることがあります。段差解消機は様々な種類や大きさがありますので、試用することをおススメします。

段差解消機の注意点

  1. 掃き出し窓から段差解消機へ移動する場合は、サッシの溝で車椅子のキャスターが脱輪しないように、渡し板などがあると安全です。
  2. 段差解消機が地面に降りた時に地面とフラットになるように機器自体を土の中に埋め込む仕様(ピット工事が必要になります)にしておくとスムーズに移動ができます。
  3. 無線リモコンで段差解消機の操作ができると便利です。

  ポイント2   スロープの前後には平坦なスペースが必要になります!

パンフ01-3.aiスロープを設置する場合は、スロープ自体の角度をゆるくすることがまずは大切なポイントになります。同時に、使い勝手を考えると、スロープの前後の平坦なスペースを確保することが非常に重要になります。スロープ前後に平坦なスペースがないと、スロープの途中で車椅子を止めて、玄関ドアや門扉を開閉するというキケンな行動につながってしまいます。スロープの途中で車椅子を止めたり、回転させる介助はとてもキケンです。

 

入浴
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入浴には、身体が温まることで疲れがとれたり、血流が良くなり内臓の働きを促進したり、リラックス効果などがあると言われています。しかし、狭いスペースでの介助は子どもの頭や足を壁やドアにぶつけたり、滑って転倒というリスクが高まります。1.25坪以上の浴室スペースで2人以上の介助者がいるとより安全になります。また、バスチェアやリフトなどの福祉用具を積極的に活用することをオススメします。人工呼吸器を使っている場合は、訪問入浴サービスを利用するとよいでしょう。

 

 

  ポイント1   二人で介助しやすい浴室サイズは1.25坪(1620㎡)以上!

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  ポイント2   訪問入浴サービスを積極的に利用しましょう!

パンフ01-3.ai訪問入浴サービスとは、3名のスタッフ(看護師1名含む)が移動入浴車で、浴槽を自宅に持ち込み入浴介助をおこなうサービスです。約2畳のスペースがあれば利用可能です。自治体によって利用できる条件が異なりますので、確認しましょう。

訪問入浴サービスの注意点

  1. 人工呼吸器を利用している場合は、必ず医療機関に相談しましょう。慣れている事業所を使いましょう。
  2. ベッドやラックなどはキャスター付きのものにして、移動できるようにしておくとよいでしょう。

<出典>
国際福祉機器展H.C.R 2016特別企画「障害児のための『子ども広場』」配布資料「 医療的ケアが必要な子供の住まいの工夫 パンフレット」より


医療的ケアが必要な子どもの住まいの工夫

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